2009年5月15日(金)
しばらくテープから遠ざかっていたところ、友人より2トラ38デッキを貸していただきました。
DENON DH-610Sで、1981年ごろの製品です。当時の価格は295,000円。デッキ部とアンプ部が分離されたテープデッキです。
実際においてみると堂々とした風格が漂います。
デッキ部からコネクター・ケーブルが2本とプレイバック用RCAケーブルが1本出ているので、これらをアンプ部につなぎます。デッキ部のスイッチをONにするとアンプ部の電源も入ります。
2トラデッキはフォワードのみの1方通行ですのでテープメカは比較的単純です。ケーブルの接続にとまどいましたが何とかうまくいきました。
プランジャーの作動する音も静かで、さすがに高級デッキです。
つまみがたくさんありますが、LINE IN、LINE OUT、MIC INのレベルつまみ、バイアス、イコライザーのレベルつまみ、あとは録音、再生の切り替えスイッチ、これらがすべてR chとL chのふたつづつあるためです。
Webをさがしても背面の接続画像がなかったので載せておきます。このような接続になります。
さて、一緒に借りたベートーベンの2トラ38ミュージックテープをかけてみました。
色づけのないきわめて自然な音です。低音だけが不自然に響くこともなく、音がきらびやかなわけでもなく、とても自然なのです。それでいていつまでも聴いていたくなる音です。
「原音に忠実に」とは、本来このようなことを言うのでしょう。とてもすばらしい。
ただ、テープがマスター巻きだったり、巻き戻しにとても時間がかかったりで、面倒なことが多いのも事実です。聴きたいところだけ素早く聴くこともできません。
リバースがない分だけ楽かもしれませんが、レコードの手軽さにはとても及びません。
ミュージックテープも簡単には手に入りません。2トラ38テープなどまず入手不能です。30年前当時でも1本18,000円ほどしています。
それでも、テープの音は本当によい音です。古いデッキとわずかなテープを大切に楽しむほかありません。
PS 5月20日(水)
前述のベートーベンのワルトシュタインをもう一度聴きました。くせのないいい音です。
ピアノのタッチが強く、スピーカーの後ろでピアノを弾いているような錯覚を覚えます。
おそらく30年以上前のテープで、回しているうちにぽろぽろと黒い保護膜が小さな滓のように落ちてきましたが録音そのものに影響はないようで、きちんと管理していればずいぶん長持ちすることも分かりました。