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ラジオ技術 1981年12月号 ダイヤトーンP-610開発裏話

ラジオ技術1981年12月号 P-610開発裏話 ダイヤトーン

2024年5月4日(土)

43年前のラジオ技術誌を入手しました。1981年(昭和56年)12月号です。

ラジオ技術1981年12月号

当時は購入しませんでしたが、ダイヤトーンP-610開発裏話の記事が載っていると知って読みたくて古本を購入したものです。

P-610のことは1982年5月号にも詳しく載っています。

⇒ 記事はこちら

ダイヤトーン P-610 開発裏話です。

P-610開発裏話

著者の佐伯多門氏はプロフィールによれば、愛媛県今治市出身。1954年、愛媛県立新居浜工業高校電気科卒、同年三菱電機株式会社に入社。1955年よりダイヤトーンスピーカーの開発設計に従事。数多くのスピーカーシステムの開発に携わり、スピーカー用新素材や新技術を開拓したとなっています。

最初に誕生したP-62F(昭和22年)は、意外にもフェライトマグネットだったのですね。

正確にはOP磁石という、磁鉄鉱Fe3O3と亜鉄酸コバルトCoO・Fe2O3からなる永久磁石でフェライトの一種だそうです。

ガッチリしたダイカストフレームのユニットです。

P-610開発裏話

入力2.5W。インピーダンス5.5オーム
再生周波数:80Hz~10,000Hz以上

コーン紙は紙を抄いて作ったシームレスコーンだったそうです。

よく見れば、今のP-610DBなどとほぼ同じ形状ではありませんか。

ダイヤトーンP-62F

P-610DBのコーン紙

P-610DB

製品としては
P-65F(昭和25年):アルニコマグネットになった
P-60F(昭和29年):鉄板フレーム / 入力:3W / インピーダンス:6オーム / 再生周波数:70Hz~10,000Hz
P-610(昭和33年):入力:3W / インピーダンス:6オーム / 再生周波数:80Hz~13,000Hz
P-610A(昭和35年)インピーダンス:16オーム
P-610B(昭和42年)インピーダンス:8オーム
P-610M(昭和46年)16オームのボイスコイルを2組持つ
と変遷していきます。

コルゲーション、ダンパーの材質など細かな改良が何度も重ねられています。技術的なことなので詳細は略しますが、NHKの調整室や局内のモニター用途に絞って作られたものでした。

一般家庭用にエンクロージャー入で市販されたのは昭和38年だそうです。

P-62Fに始まってP-610Aに至っても、基本的な設計定数は殆ど変わっていないそうで、基本設計がとても優れていたようです。

記事の中にあるエンクロージャーで面白いと思うのは、次の断面が台形の形をした壁掛け型です。(b)1号型スピーカーシステムとなっています。

この壁掛け型は自室用に作ると学校の教室のようで面白いのではないでしょうか。

P-610開発裏話

P-610が誕生するまでの苦労が忍ばれます。

思えば、ダイヤトーンサウンドはどのスピーカーシステムを聴いても、素はP-610系の音だと思うのですが、いかがでしょうか。

シングルコーン一発と2ウェイ、3ウェイ以上のシステムの広帯域化といった話を別にすれば、ダイヤトーンはP-62Fから始まるP-610シリーズとともに進化してきたように思いました。

このラジオ技術誌のCM広告を少し載せます。

CDが生産されるようになり、初期のCDプレーヤーはCDが縦に収納されるものがほとんどでしたね。横向きにトレーに吸い込まれるものはまだありません。

ラジオ技術1981年12月号

トリオのFMチューナー L-02Tです。この広告は大げさではなく、L-02Tは素晴らしい音質でした。大きな音の影になる小さな音もきちんと聞こえるのです。デジタルでは再現は難しいかも。

ラジオ技術1981年12月号

パイオニア PL-50の改良型です。初期のPL-30は以前持っていました。感度の良いアームで、オルトフォンカートリッジがとてもきれいに力強く鳴っていました。

ラジオ技術1981年12月号

この後10年ほどは各メーカーのスペック競争が盛んで、数値ばかり追いかける日本メーカーは、その後ほとんどがオーディオから撤退しましたね。

中には本当に良い音の機器もあっただろうに残念ですね。

P-610シリーズやパイオニアPE-16、PE-20シリーズは今でも非常に人気があり、本当に良い商品を作り続ける大切さを物語っているように思えます。

 

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