レコードプレーヤーの調整方法です。他のプレーヤーも仕組みは同じなので参考にしてください。
パイオニア PL-30L
1.トーンアームの高さ調整
カートリッジがレコード面をトレースしているとき、トーンアームはレコード面に対して平行になっていなければなりません。
オルトフォンMC20Mk2はカートリッジの高さが高めで、シュアーV15type3やDENON DL-103は低めです。
このため、アームの高さを調整する必要があります。私のPL-30Lでは、矢印の2箇所の六角ボルトを緩めるとトーンアームの高さを上下できるようになっています。
2.オーバーハングの調整
トーンアームをセンタースピンドル(心棒)の方に動かしてゆくと、カートリッジがセンタースピンドルから少し先の方に出ます。
このときの、センタースピンドルの中心からカートリッジの針までの距離をオーバーハングといいます。
通常は、レコードの最内周の音溝の位置で、センタースピンドルからカートリッジに引いた垂線が、カートリッジ側面と垂直に交わるように設定します。
PL-30Lでは14mmとなっています。
簡易的に、上の画像のようにシェルがアームと接する位置からカートリッジの針先までの間隔を50~51mmに調整して、オーバーハングが適正にとれるようにします。
3.水平バランス調整
カートリッジを取り付けた状態でトーンアームが水平になるようにバランスウエイトの位置をずらして調整します。
水平がとれている状態
アームが下がっている状態
アームが上がっている状態
水平は目分量でかまいません。
エレベーターは下げておき、アームをアーム掛けからはずしてフリーの状態で行います。インサイドフォースキャンセラーもゼロにしておきます。
4.針圧調整
アームの水平を取った後に針圧調整をします。
水平バランスがとれた状態で、上の画像のようにウエイトについている針圧リングの方(目盛りがついている方)だけを慎重に回してゼロに合わせます。
そして、ウエイトをゆっくりと回してカートリッジの規定の針圧の数字に合わせます。PL-30Lでは1回転で1gになっています。
この方法で針圧はかけられますが、リングをゼロ目盛りに戻してみると、水平バランスは少し崩れているのが分かると思います。
このことから、できれば市販の針圧計を用意してきちんとあわせた方がいいのです。
使用するカートリッジで決められた針圧の範囲を守ることが大切です。
5.インサイドフォースキャンセラー
針圧調整まで終わったら、インサイドフォースキャンセラーの目盛りを、かけた針圧と同じ数値に合わせます。
これも規定のアウトサイドフォースがきちんとかかっているか分かりません。レコードを試聴しながら左右のスピーカーの音量が同じか、片方だけ歪んでいないか微調整が必要です。
でも、あまり神経質になる必要もないと思います。
下はSMEのアームですが、このようにおもりを用いたインサイドフォースキャンセラーもあります。こちらの方が上記の磁力を用いる方法よりも正確に作動させることができるのです。
6.ラテラルバランス
ラテラルバランスとは、左右のバランス調整のことです。「やじろべい」のような1点支持のアームやSMEのアームでは、前後ばかりでなく左右方向のバランス調整も必要になるのです。
ラテラルバランスがとれているときは、アームをフリーの状態にしてプレーヤーの後部を少し持ち上げても、アームが左右に振れないといわれます。
しかし、ラテラルバランスを調整できないアームも多く、一般的なスタティックアームでは必要ないと言っても差し支えありません。
DENON DP-55M
他のプレーヤーも基本的な調整ポイントは同じです。
DP-55Mのトーンアームの高さ調整は次のようにします。
アームの高さ調整は、アームベースの2本のマイナスねじをゆるめると上下に動きます。ねじは後ろ向きにあるので、アクリルカバーをはずさないと作業スペースがとれません。
DP-55Mの針圧の目盛りは荒く、全般に調整は大まかな操作性です。
この当時のDENONはオートリフトアップのアームがついたプレーヤーは末尾が”L”になります。オートリフトアップなしはMです。
DENON DP-55Mのことは次の記事もご覧ください。
※ 最近の数万円のレコードプレーヤーは、トーンアームの高さ調整ができないものがほとんどです。
カートリッジをいろいろ取り替えて聴きたいときは、トーンアームの高さ調整が必要ですので、そのときは中古で程度のいい昔の機種を入手したほうがいいと思います。
次の画像は、DENON DP-55M用に2009年ごろに購入したウールのターンテーブルシートです。このようなシートひとつで音が良い方向に変わるのが分かります。今は市販されていないようです。
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