2007年12月19日(水)
ジムランと聞いてぴんと来る方はかなりの年季の入った方でしょう。
西のタンノイ、東のJBLという感じですが、このJBL(ジムラン=創始者ジェームス・B・ランシング)を30数年間にわたって探求し続けてきた菅原正二氏の熱い思いが、下の本にぎっしりと詰まっています。
文庫による再販なのですが、著者は、その道の方ならずとも有名なジャズ喫茶「ベイシー」の店主なのです。
この方、ただのオーディオ好きなジャズ喫茶のマスターだと思っていたら、自らドラマーやバンマスを経て、カウント・ベイシー、マイルス・デイビスらとも交流があり、レコード会社やオーディオ編集者との親交もあり、加えて稀代のオーディオマニアであるとんでもない人だということを初めて知りました。
「心地よい音」などということは軟弱だと切り捨て、「カツーン」とくるシンバル、「静寂を切り裂いて飛び出すアルトサックス」、「大音量を朗々と鳴らす」ための試行錯誤の数々、JBLで極めた「ベイシー」の遍歴の止まるところを知らない探求心に息をつくヒマもないほど引き込まれてあっという間に読み終えてしまいました。
「うるさい音を朗々と鳴らす」という言葉には目からウロコの思いがします。安易な妥協は一切せず、「本物の音」を求め続けようとする熱意には圧倒されます。
せめてその百分の一でも、熱い思いを持ってオーディオに接したいと思いました。オーディオ好きの万人にお薦めできる本です。